百合作品紹介『獄門撫子此処ニ在リ2-赤き太陽の神去団地-』

全て

あらすじ

それは、現世と幽世のはざまにある場所ーー
衝撃の第17回小学館ライトノベル大賞《大賞》受賞作、
さらにスケールアップした第二弾。

「神去団地へようこそーーそして、ご愁傷様」

ここは神去団地。
怪異ひしめく古都・京都の裏側に隠された、現世と幽世のはざまの土地。
地上には量産された建物が歪に立ち並び、目も眩むような青空の中心では、赤く奇妙な太陽が人を惑わせる。
この土地に閉じ込められた無耶師たちは、赤い太陽が秘めた力を巡り争っているのだという……。

そんな異形の地で目覚めた撫子は、記憶を失っていた。
化物にすら畏怖される『獄門家』の血族としての記憶も、アマナと出会ってからの記憶すら失っていた撫子。かろうじて記憶を取り戻すも、何か大切なことを、忘れているような気がしてーー。

空に焦がれた天狗の一族、奇妙に身軽なタタリコンサルタント、向こう見ずなガスマスク達、蹂躙する狂信者たち、もはや終わってしまった一族の生存者……人々の欲望が絡み合うなかで、撫子とアマナはこの異形の地に巣食う因縁を断ち、脱出できるか。
そして撫子は、忘れてはならなかった約束を思い出せるのかーー。

化物とヒトとのあわいに揺らぐ、うつくしくもおそろしい少女鬼譚、霍乱の第二巻。

評価

項目評価
おすすめ度3.8
百合度3.3
恋愛要素2.5
ストーリー4.0
日常2.0
ギャグ2.5
シリアス3.0

※私的な評価ですので、ご参考までに

感想

さて、本作ですが、1日で読み切ってしまいました。普段私は、電車での移動時間やちょっとした隙間時間を利用して、長い時には読了まで一年以上かかることもあるのですが、本作では息を継ぐ間もない展開でつい一気に読み進めてしまいました。

そんな本作ですが、冒頭から何やら不穏な雰囲気で始まります。そして、一つの問題が片付く前に、また次の問題が起きていきます。コーポ榊法原、花を大切にと書かれた看板、牛の頭の少女、襲いくる天狗もどき達、人口太陽、さらには、太陽を求める無耶師たちまでもが加わり、事態は混沌を極めていきます。

私自身、子供の頃は団地に住んでいたことがあり、その時の情景を思い出しながら読んでいました。団地というのは不思議なもので、棟ごとにコミュニティができていて、他の棟に住む人の話になると、何棟の誰々さんといったように、何棟に住んでいるかというのが学校のクラスのような扱いでした。偶に隠れん坊や鬼ごっこで他の棟に行く時には、子供心ながら異郷への冒険のようでした。

私が住んでいたのは市営の団地で、世帯を持っていることが入居の条件だったため、若い子持ちの家庭と子育てが終わった年代の低所得の世帯が多かった印象です。変わった人もいましたが、近い年の子供も多かったので、なんだかんだで楽しかった思い出です。

話が逸れてしまいましたが、今作は団地を題材としているためか、どこか懐かしくも雑多としていて、秘境めいたワクワクもあります。物語中でも、無耶師同士の対立があったり、変わり者の集まりだったりと、そんなところも団地っぽいなと思います。

今作においても、撫子とアマナの百合は健在ですが、撫子がアマナを揶揄うシーンが多く、ニヤニヤさせられます。お互いを大事に思うあまり、無理をしすぎて空回ってしまうほどに思い合う二人の関係性にも注目です。

伏線的には、回収されていない要素もあり、少しモヤっとしますが、『意味がありそうで意味がないもの』というのが、案外恐怖心を煽るものなのかもしれないです。また、無耶師関連は次回以降に回収されそうなので、次回作も楽しみです。

あと、叔父さんがただのツンデレキャラと化してて笑いましたww

以上、前巻のじめっとしたオカルトとは打って変わり、疾走感もありつつノスタルジックなオカルト作品となっています。次回はどんな作風になるのか楽しみです。

購入方法

公式サイト

小学館

電子書籍

楽天kobo

書籍

楽天ブックス

コメント

タイトルとURLをコピーしました